田中班・秋本班らの共同研究成果がプレスリリースされました
低温下で光合成をすると発生する活性酸素の処理がうまく進まず、ダメージになりかねません。このため、寒冷地の常緑樹は冬季には吸収した光エネルギーを熱として逃がすことで、光合成を抑えていることが知られていましたが、その仕組みについてはよくわかっていませんでした。
北海道大学低温科学研究所の田中亮一教授(A03班)、高林厚史助教(A03班)、神戸大学理学研究科の秋本誠志教授(B02班)、基礎生物学研究所環境光生物学研究部門の横野牧生准教授(A03班)、森林総合研究所の北尾光俊主任研究員らの共同研究チームは、常緑針葉樹の一種であるイチイを研究材料とし、ピコ秒単位(注:ピコは1兆分の1)での蛍光の測定、一年を通しての遺伝子の発現、光合成タンパク質及び光合成色素の量の測定、タンパク質の構造予測などの解析を複合的に組み合わせることによって、ELIPというタンパク質が冬季になると急速に量を増やして葉緑体に蓄積することを突き止めました。ELIPの構造予測の結果などとも合わせ、ELIPが寒冷地における常緑樹の冬季の光合成応答において重要であることを示しました。
【北海道大学プレスリリース】 https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/241122_pr2.pdf
雑誌名:Journal of Experimental Botany
題 名:Revisiting the early light-induced protein hypothesis in the sustained thermal dissipation mechanism in yew leaves. (イチイの葉における持続的熱放散メカニズムの early light- induced protein 仮説を再考する)
著 者:Zihao Ye, Mina Sawada, Makiko Iwasa, Ryo Moriyama, Debayan Dey, Miyu Furutani, Mitsutoshi Kitao, Toshihiko Hara, Ayumi Tanaka, Junko Kishimoto, Makio Yokono, Seiji Akimoto, *Atsushi Takabayashi, *Ryouichi Tanaka (Corresponding authors)
DOI: 10.1093/jxb/erae412
URL: https://academic.oup.com/jxb/advance-article/doi/10.1093/jxb/erae412/7810948